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消化器がん化学療法(抗がん剤を用いた治療)

消化器がんに対する根治的な治療は手術や内視鏡治療となりますが、全身への転移などの理由で切除が難しい場合には、抗がん剤を用いた化学療法が選択されます。また、がんの種類によっては外科的な手術の前後に補助的に抗がん剤を併用する場合があります。

当院はがん化学療法を専門に行う施設ではありませんが、各学会の診療ガイドラインなどに基づき、標準治療を軸とした適切な治療を提供できるよう努めております。より専門的な治療(治験や高度な集学的治療など)が必要な場合には、専門施設と連携して診療を行います。

【胃がん】

胃がんに対する化学療法は、近年、従来の抗がん剤に加えて、免疫チェックポイント阻害

薬や分子標的薬の登場により、治療の選択肢が広がっています。特に切除が困難な進行・再発胃がんでは、HER2、PD-L1、CLDN18.2、MSI/MMRなどのバイオマーカーを評価し、その結果や患者さんの全身状態を踏まえて治療方針を決定することが重要となっています。当院では、各種診療ガイドラインに基づき、これらの検査結果を踏まえ、一人ひとりの病状に応じた標準的な薬物療法を行っています。

【大腸がん】

大腸がんに対する化学療法は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた

治療の普及により、進行・再発例に対する薬物療法の選択肢が多様化しています。切除が困難な進行・再発大腸がんでは、RAS・BRAF遺伝子やMSI/MMRなどのバイオマーカーに加え、原発巣の部位や病状、全身状態などを総合的に評価して治療方針を決定します。当院では、診療ガイドラインに基づいた標準治療を基本とし、必要に応じて外科治療も含めた治療方針を検討しながら診療を行っています。

【膵がん】

膵がんは消化器がんの中でも治療が難しい疾患ですが、modified FOLFIRINOX療法(5-FU、イリノテカン、オキサリプラチンの併用療法)やGnP療法(ゲムシタビンとnab-パクリタキセルの併用療法)に加えて、リポソーム型イリノテカンと5-FUの併用療法も選択肢に加わり、治療成績は徐々に改善してきています。また、切除可能または切除の可能性がある膵がんに対しても、手術前に化学療法を行う術前化学療法が一般的に行われるようになり、治療成績の向上が期待されています。

【胆道がん】

胆道がんに対する化学療法は、ゲムシタビン、シスプラチン、S-1といった薬剤が中心となっています。近年では免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を用いた治療法が適応となっており、治療の選択肢が広がっています。

【肝細胞がん】

肝臓は“肝腎”や“肝心要”の言葉があるように生命維持に重要な役割を持つ臓器です。肝細胞がんはその肝臓にできる悪性腫瘍で多くは肝臓の病気を持つ方に発生します。そのため肝細胞がんの治療は他のがん種と異なり、がんの臨床病期のみならず肝臓の予備能を考慮する必要があります。

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肝細胞癌診療ガイドライン 2025より改訂

肝細胞がん治療アルゴリズム

上記アルゴリズムのように根治的な治療が期待できない方には全身化学療法が勧められます。もちろん治療効果により切除や局所治療が適応となる方もおります。

現在肝細胞がんの治療として使用されている治療法は以下の通りです。

一次治療

・ソラフェニブ(ネクサバールR)
・レンバチニブ(レンビマR)
・アテゾリツマブ(テセントリクR)+ベバシズマブ(アバスチンR)
・デュルバルマブ(イミフィンジR)+トレメリムマブ(イジュドR)
・ニボルマブ(オプジーボR)+イピリムマブ(ヤーボイR)*当院では採用しておりません。

二次治療

・レゴラフェニブ(スチバーガR)
・ラムシルマブ(サイラムザR)
・カボザンチニブ(カボメディックスR)

 ソラフェニブ以降血管新生抑制やがん発育に対する阻害薬が治療の中心でありましたが,近年では免疫チェックポイント阻害薬(上記下線の薬剤)が肝細胞がん治療の中心となってきており、免疫チェックポイント阻害薬の出現により長期的な予後を得られる方も出てきています。今後は血管内治療や新たな薬剤との組み合わせも研究されており,より高い治療効果が得られることが期待されています。
当院では治療法それぞれの特性を踏まえ,肝細胞がんの状態のみならず患者さんの状態に合わせて,治療法の提案を行っております。