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ピロリ菌と胃がん
― 除菌後も定期的な内視鏡検査を ―
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、胃の粘膜に感染する細菌です。多くの場合、幼少期に感染し、その後長期間にわたって胃の粘膜に炎症を起こします。
ピロリ菌の感染が続くと、慢性胃炎から萎縮性胃炎や腸上皮化生と呼ばれる変化が徐々に進み、胃がんが発生しやすい状態になることが知られています。そのため、ピロリ菌に感染していることが分かった場合には、適切な検査を行ったうえで除菌治療を受けることが大切です。
ピロリ菌を除菌すると胃がんのリスクは低下します
ピロリ菌の除菌治療では、胃酸の分泌を抑える薬と抗菌薬を組み合わせて内服し、胃の中からピロリ菌を取り除きます。
ピロリ菌を除菌することによって胃粘膜の炎症が改善し、将来胃がんを発症するリスクを低下させることができます。
特に、胃粘膜の萎縮などが進行する前の若い時期に除菌することは、将来の胃がん予防の観点から重要と考えられています。
しかし、ここでぜひ知っておいていただきたいことがあります。
除菌に成功しても、胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。
「除菌したから、もう胃がんにはならない」ではありません
ピロリ菌を除菌すると胃がんになる可能性は低くなります。しかし、除菌するまでの間に胃粘膜に生じた萎縮や腸上皮化生などの変化が、すべて元の状態に戻るわけではありません。
このため、ピロリ菌の除菌に成功した後にも胃がんが発生することがあります。
実際に、除菌後10年以上、さらに長期間が経過してから胃がんが発見されることも報告されています。
したがって、
「ピロリ菌を除菌したから、もう胃の検査を受けなくても大丈夫」
という考え方は適切ではありません。
ピロリ菌の除菌は胃がん予防のための重要な一歩ですが、除菌後も定期的に内視鏡検査を受けることが、胃がんの早期発見のために重要です。
除菌後20年以上経過して発見された早期胃がん

ピロリ菌除菌から20年以上経過した後に発見された早期胃がんです。除菌後長期間が経過しても胃がんが発生することがあります。通常観察に加えて、色素内視鏡や画像強調・拡大内視鏡などを用いて、病変の範囲や性質を詳しく評価します。
除菌後も内視鏡検査が大切です
除菌後の胃では炎症が改善するため、胃粘膜の見え方も変化します。その一方で、除菌後に発生する胃がんの中には、周囲の胃粘膜との境界が分かりにくく、発見が難しいものもあります。
当院では、通常の内視鏡観察に加えて、必要に応じて画像強調内視鏡や拡大内視鏡などを用いて、早期胃がんの発見と精密診断に努めています。
胃がんは早期に発見することができれば、外科手術を行わずに内視鏡治療(ESD)によって治癒を目指せます。
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除菌後はどのくらいの間隔で内視鏡検査を受ければよいのでしょうか
除菌後にどのくらいの間隔で内視鏡検査を行うべきかは、年齢、胃粘膜の萎縮の程度、胃がんの既往、家族歴などによって異なるため、すべての方に一律の検査間隔が決まっているわけではありません。
特に、胃粘膜の萎縮が強い方や、胃がんの治療歴がある方などでは、除菌後も胃がんのリスクが高く、定期的な内視鏡検査が重要です。
当院では、それぞれの方の胃がんリスクを考慮して、適切な検査間隔をご案内しています。
ご自身のピロリ菌感染歴をご存じですか?
ピロリ菌については、現在感染しているかどうかだけではなく、これまでに感染していたことがあるかも重要です。
次のような方は、一度ご自身のピロリ菌感染歴や胃の状態を確認することをお勧めします。
・以前に除菌治療を受けたが、その後胃カメラを受けていない
・除菌に成功したかどうか確認していない
・以前ピロリ菌がいると言われたが、そのままになっている
・自分がピロリ菌に感染しているか分からない
ピロリ菌に感染している場合には適切な除菌治療を行い、除菌後も定期的な内視鏡検査を継続することが大切です。
胃がんは、早期に発見できれば内視鏡で治療できる可能性の高い病気です。
「除菌して終わり」ではなく、「除菌後も胃を定期的にみていく」。
これが胃がんの予防と早期発見のために大切です。
ピロリ菌や除菌後の内視鏡検査についてご不明な点がありましたら、消化器・肝臓内科外来でご相談ください。